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音読で学び働く韓国語 |
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はじめに
音読こそ、韓国語学習の王道です。 文字を見て口に出す--この練習を積み重ねると、ある時点で韓国語が自然に口から出るようになります。 りんどうむくげ工房のレッスンは、この音読の繰り返しを最重視し、徹底して行います。 内容を理解したうえで、たくさん話し、たくさん聞く。そして、たくさん書き、たくさん読む。韓国語学習のポイントです。 でも、独学では、なかなか長く続けられません。一人で集中力を維持することは易しくありません。ですが、レッスンを受けると、集中して学べます。外国語学習にとって貴重な時間です。 レッスンでは、テキストをどんどん声に出します。オーバーラッピングやシャドーイングなどのテープ学習や韓→日、日→韓の通訳練習なども行います。 週1-2回の個人レッスンで集中して学習し、そこで得た刺激をもとに、家でテキストの音読、参考書、テレビ・ラジオの学習を(できれば1日最低30分)継続する--これが最も効果的かつ経済的で持続可能な方法です。 * * * * * NHKの英語講座の講師のほとんどは日本語を母語とする人たちです。 なぜでしょうか。 体験的に申し上げますと、韓国語学習の初級から中級までは、日本語で内容と文法をどれだけ理解しているかが、その後の上達の度合いを決めます。 ですから、ネイティブ講師から学ぶ場合、①教育方法を習得しているか、②日本語能力が相当高いレベルにあるか、が重要なポイントです。その二つを満たしてはじめて、初級から中級の韓国語学習者に必要な文法理解を助けることができるでしょう。 私は韓国に2年間留学し、初歩から韓国語の授業を受けました。午前中は語学学校で韓国語の授業、午後は復習と宿題、夜は韓国人の友人たちと酒を飲みながら話したり、下宿で韓国映画のCDビデオを見たりする毎日でした。文法・語彙・表現など「内容を理解し」、夜、「たくさん話し、たくさん聞く」ことを繰り返していたわけです。 それでも、留学終了後に新聞や本は辞書を片手に大方読めるようになりましたが、会話は十分にできませんでした。大きな壁にぶつかりました。それを乗り越えるために、日本語で書かれた韓国語の文法を勉強し、また、韓国人の友人の発音チェックを細かく受けました。理解があいまいな部分が随分ありました。留学先の先生は韓国語でしか話しません。留学中は、何となくわかった気になって油断し、穴が沢山空いていることに気付かなかったのです。消化しきれていない単語や表現は口から出ません。日本語で理解し、概念として把握する必要性を痛感しました。 私は、日本語を母語とする韓国語の通訳・翻訳者です。受講生のみなさんと同じ韓国語学習者です。何度もドツボにはまりました。韓国語の使い方に関する失敗も数え切れません。思い出すたびに冷や汗たらたらです。ですから、苦労したこれまでの経験も交えながら、学ぶ上でのコツやポイント、日本語母語者がつまづきやすいところは何か、それを克服するにはどうしたらいいかを、詳しく、分かりやすくお伝えできます。 留学中、そして帰国して現在に至る間、韓国人の先生や友人たちから本当に多くのことを教えてもらってきています。その中で「これは大切だな」と気づいたことをできるだけ伝えたい、という気持ちでレッスンをしています。 私も、レッスンをしながらたくさんのことを学んでいます。受講生のみなさんの韓国語能力が上がっていく姿を間近で見ることができるのは、本当にうれしいことです。 肩の力を抜いて楽しく学べば、着実に力がついていきます。韓国語という大海に向かって、ゆっくり、舟を漕ぎ出しましょう。 ☆コラム――受講生の声① 現在りんどうむくげ工房で韓国語を学ぶ働く講師Oさんからもらったメールを紹介する。 (2010年11月2日) ――今日で中級(4級)を修了し、次回から上級ですが、Oさんがこの教室で1級から授業を始めたのはいつですか? 3年2ヶ月前です。 ――ここをどうやって見つけたんですか? インターネットです。偶然というか、教室を探していたんです。どこかないかと。探したことがなかったのでインターネットで検索をかけてたまたま見つけました。韓国語を習いたいというような言葉を並べたら、教室がいくつか出てきました。 ――以前伺った、隣室の方の話をもう一度お願いします。 同じマンションの隣の人も韓国語を3年間習っているのですが、全く喋れませんでした。その方も韓国人の先生の個人レッスンで…… ――個人レッスンですか?! それは今日初めて聞きました。 もちろんそうです。 ――条件はここと同じですね。 「同じくらいの期間習ってきたね」という話をしたんですが、その後、その人はレッスンの回数を増やしたんですよ。それからまた会う機会があったのですが、そのときもぜんぜん喋れないと言っていました。 ――それはちょっと衝撃ですね。 書くのも、読むのも、喋るのも、ここの教室がずば抜けて時間をたくさん当てていると思います。 ――このインタビューの前に行った授業でも、総復習ということもあって、ほとんどOさんが喋りっぱなしでした。疲れませんでしたか? 疲れましたが、大丈夫です。最後は口が回らなくなりましたけど。 ――講師の私が韓国人ではなく日本人であることに抵抗はありませんでしたか? 実はありました。英語でも何でもそうですが、初めて習う人は、「何はさておき絶対ネイティブ」ということで探すと思うんですね。 ――私も、英語を習うならネイティブと思って、つぶれたNOVAに行きました(笑)。 日本人でも韓国人でも関係ないというわけではありませんが、私の場合は、日本人の講師が合っていたな、よかったな、と思います。 ――その点をもう少し掘り下げて聞きたいのですが。 質問したときの答が的を得ているんです、先生が日本人なので、何に悩んでいるかを分かってくれて。 ――私も随分悩みましたので。 そこが一番いい点ですよね。私は、「そこが分からないと先に進めない」と思ってしまうんです。 ――母語について深く考えるのは難しいですからね。日本人講師から学んでよかったですか? もちろんいいです。ここでのレッスンの仕方が私には合っていたなとすごく思います。 ――私の教え振りはどうですか? すごくいいと思います。ここの教室は、年月ではなくて、その人のレベルに合わせて、1回1回をきちんとやって、最後に総復習までやって、自分が納得して上に進級するので、身についたことが多分すごく違うと思うんです。 ――ホームページに載せ甲斐のあるお答え、ありがとうございます(笑)。ソウル大のテキストについてどう思いますか? すごくいいと思っているんですよ。さっき言ったマンションの隣の人が○○大学のテキストを使っているんです。それを見せてもらったことがあって、「この教科書だったら私喋れなかったかも」と思いました。 日本語の説明が入っているんですが、すごく変なんです。「これ、どういう意味?」と逆に悩んじゃうんです。それもあって隣の人は勉強が進まないのかな、と。 ソウル大の教科書はものすごくよくできていると思います。実際に使える話がいっぱいあって、しかも授業で何度も言う練習をするじゃないですか。 だから、旅行に行くと、習った表現が実際に自然に口から出てくることがあるんです。問題集もありますし。最後に聞き取り問題がありますが、すごく身につきます。 ――最近は韓国に旅行する時、ホテルの予約を自分で国際電話でしている、と以前おっしゃっていましたよね。とても高いレベルです。電話は聞き取りにくいですから。 聞き取り問題が力になっていると思います。話す速度も速いです。聞き取り問題の速さに慣れると、韓国語能力試験のときの聞き取り問題がゆっくりに感じられます。 ――次回から上級ですね。どういう感慨をお持ちですか? テキストを一冊一冊ちゃんと勉強してきたんだなと思えるので、うれしいです。ただ、忘れないように、自分で努力しなくちゃいけません。 ――復習すると身につきます。今後の目標は? 何にもないんです。勉強すること自体が好きなので。ただ、先生みたいに日本人だけど韓国語のできる人が目の前にいるので、目標にしてがんばろうかなと。 ――恐縮です……。ここの教室の改善点は何でしょう? 改善というと悪いところを直すみたいなので、そういうのは全然ありません。希望を言うと、試験をしてくれたらいいなと思います。 分かっているつもりでも分かっていないことがありますし、試験をすると思うと勉強するじゃないですか。教科書が半分進んだら試験をするとか。 ――そういうご要望があればいたします、5級から。 してもらえれば励みになります。 本当は、この教室を他の人にも勧めたいんですよ。でも、勧めちゃうと予約取れませんし。 ――あのう、機会があったら他の方にもこの教室を勧めてください。^^; はい(笑)、勧めます。 ――今日はありがとうございました。 (2013年12月7日) 随分ご無沙汰してしまいましたが、お元気ですか? 2007年から個人レッスンを受けていたOです。 覚えていらっしゃいますか? ちょうど、5級になってまもなく、大震災が起こり先生がご実家に帰られたあと私も数ヶ月間レッスンをお休みしました。 ミリネ(韓国語教室。http://www.mirinae.jp/ ――引用注)が新しい教室に引っ越し、暫くした後、レッスンに戻り今日まで金先生にお世話になっています。 まだ迫田先生のレッスンを受けていた時に、能力試験の高級を受けるようになりましたが、実に、2年掛けて今回やっと6級に合格することが出来ました。 初級から教えて頂いた迫田先生と、試験対策を熱心に指導して頂いた金先生には感謝の気持ちでいっぱいです。 特に、迫田先生には韓国語の基礎と、勉強することの楽しさを教えていただき、途中で諦めることなく、ここまで来る事が出来るまでになった事を思うと、本当に感謝の言葉しかありません。 目標だった6級に合格はしましたが、「6級なのに話せない」「6級なのに、この意味も分からないのか」と言われないように、これからも6級らしい6級を目指して勉強を続けようと思います。 次の目標をハンルグ検定1級にしましたので、いつになるか分かりませんが、合格した際には直接ご挨拶とお礼に伺いたいです。 迫田先生のレッスンの途中で、時々、「じゃあ、金先生に電話して聞いてみましょう」というスペシャルな練習がありましたが、実は、あの一言にすごく緊張して怖かった記憶があります。 でも、あのスペシャルな練習のおかげで結果的には電話が全く怖くなく、普通に会話できるようになりましたので、お二人には足を向けて眠れませんね。 かなり長い期間かかってしまいましたが、こうして6級合格の報告が出来て本当に嬉しいです。 迫田先生に習っていなかったら、多分、初級で終わっていたと思います。 先生の教えでもある、「音読」と「忘れたらまた覚える」は、常に頭の中にあります。 そして、「ハングルマル、チャラシネヨ」に対する「アジッ、モロッソヨ~」は、何十回言ったか分かりません。 そのたびに、迫田先生の顔が浮かび、心の中で「やった!」とVサインしています。 これから気持ちを切り替え、ハングル検定の試験まで日々、勉強を続けます。 迫田先生も、私が先生のレッスンをいつまでも忘れていないように、受講生の方の心にいつまでも残る素晴らしいレッスンを続けていってください。 今年もあと僅かになりましたが、お風邪などひかれませんように。 突然のメールで大変失礼しました。覚えていた下さったら嬉しいです。 Ⅰ 学習編 1.日本で学ぶ おすすめ学習法――音読・書写・通訳練習・対訳ノート・多読・「多書き」・フリートーキング (1)音読 ①なぜ音読か 私は留学を2年間しました。辞書さえあれば新聞や小説を読めるようになりましたが、しかし、十分な内容で気持ちよく喋ることはできず、苛立ちと焦りが増すばかりでした。 今から思うと、発音チェックと「話す」練習が足りなさすぎたのです。 そうした苦い経験を振り返り、また、英語が仕事で必要だったこともあって、NHKラジオ英語講座『英会話レッツスピーク』『徹底トレーニング英会話』『英語5分間トレーニング』を聴き、講師である岩村圭南先生の音読法に学びました。 それに、同時・逐次通訳の仕事の経験から、通訳の訓練法の韓国語訳と日本語訳を加えて再構成した、音読・韓訳・和訳の組み合わせである練習方法が、徹底音読プログラムです。 言葉の「話す」「聞く」「読む」「書く」の四つの分野のうち、「話す」が一番エネルギーを使い、また習得に時間がかかります。そのため、「聞く」「読む」「書く」はできても「話す」ができない学習者がたくさんいます。2年間留学した私も長らく、「話す」分野でさまよう学習者でした。 そうした自分の経験を逆手に取り、国弘正雄先生の只管音読、ラジオ講座で知った岩村先生の徹底トレーニング法を基にした「話す」練習、および、書写に集中した方法で授業を進めています。それは次のような順序です。 (1) 前の授業で習った箇所の韓訳 (2) 音を聞く (3) 音読 (4) 和訳 (5) 一文ずつ反復 (6) 役割練習 (7) オーバーラッピング (8) シャドーイング (9) ルックアップアンドセイ※ (10)ルックアップアンドセイ書写※ (11) 聴いて書き取り※ (※2015年12月11日追加) これに、聞き取り問題を使った和訳とフリートーキングでのアウトプットとを加えて完成です。筆記の練習問題も、例文を含めてすべて音読します。発音と抑揚が常にチェックされ、ダメ出しが入り、修正が加えられます。 正しい発音と抑揚で音読訓練を繰り返し、韓訳・和訳ですべてを聞き取って内容を理解し、フリートーキングで学んだ内容をアウトプットする。という過程を反復します。 この訓練をずっと続けると、糸でつながった沢山の小さな旗が口から次々に出る手品のように、ある日突然韓国語がスルスル出るようになります。 ぜひ一度、お試しください。 (詳しい内容は『韓国語学習ジャーナルhana』Vol.01、28-31頁掲載のインタビュー記事「徹底音読プログラム」をご覧ください。) ②音読練習の進め方 ③音読の先駆者 ④効果――「通じる発音」を獲得する (a)発音の三つの水準 (b)発音の主な注意点 (c)発音チェックを受ける ☆コラム――「ネイティブ神話」から抜け出そう NHK英語番組の講師のほとんどが日本語を母語とする人だ。なぜネイティヴでないのか。 外国語学習の特に初期段階では、ポイントをきちんと押さえる必要がある。そのためには、日本語での説明が不可欠なのだ。 韓国語学習も同じ。韓国人講師の多くは、おそらく、日本語母語者が韓国語の勉強をどのようにすすめるのがいいのか、また、間違いやすい所やつまづきがちな点が何かが分からないまま、授業を進めることになる。したがって、発音はネイティヴだから当然いいだろうが(ただし方言がある場合もあるし、皆が皆正しい発音を100%しているわけでもない)、基礎を積み重ねる上でネイティヴの講師が最適であると断言はできないのである。 それは、留学して韓国人講師の授業を2年間受け続けた私自身の経験からも言えることだ。理解があいまいな個所や文法事項は日本語で書かれた文法書や参考書を見て初めて納得が行った。よほどの上級者でない限り、概念把握は母語を通じて行う必要がある。 (2)書写 ①授業での導入の経過 ②進め方 ③効果 ☆コラム――韓国語で思考するとは (3)通訳練習 ①韓国語を日本語に訳す ②日本語を韓国語に訳す ③効果 ☆コラム――おすすめ学習書 (4)対訳ノート ①作り方 ②訳出の二重構造 ③効果 ☆コラム――鍵は日本語力(ぢから) (5)多読 ☆コラム――Nさんへの手紙。日本の韓国語学習者と韓国の日本語学習者との比較 N様 お世話になっております。 返事を書くのに時間がかかり、遅くなりました。すみません 。 1. 日本人や在日など日本語を母語とする人が韓国語を勉強するより、韓国人が日本語を勉強するする方がやさしいかどうかというご質問をいただきました。 私の答えは、否、です。 どちらも同じくらい難しいです。 ただし、それぞれ、分野ごとに得意不得意があります。 2.「話す」「聞く」、つまり発音と聞き取りは、母音と子音が多い韓国語を母語とする人(韓国人)が、母音と子音がより少ない日本語を勉強する方が、その逆より易しいでしょう。この点に関して、Nさんの考えは正しいです。 日本人や在日が韓国語を勉強するとき、使ったことのない母音や子音を言え、聞こえるようになるまで時間が相当かかります。 他方、韓国人にとって日本語の音のほとんどはこれまで言ったり聞いたことのある音です。 ですから、発音と聞き取りは、韓国人の方が習得が早いでしょう。 ただし、相当上級の韓国語母語者でも、「つ」の発音を日本人や在日のように正確にいえる人を、私はこれまで1人しか知りません。12年間日本で暮らした韓国人通訳です。(中略) 3.しかし、「読む」「書く」は韓国人より日本人や在日の方が早く上達します。 日本語は基本的にひらがな・カタカナ・漢字の3種類の表記がありますが、韓国語は基本的にハングルだけだからです。 特に漢字の習得は韓国人にとって最大の頭痛の種です。漢字の中でも、日本人や在日でも間違える人名・地名を日本人や在日並みに習得した韓国人を、学校で漢字を習った50代以上の世代を除いて私は知りません。 4.韓国語能力は、「話す」「聞く」「読む」「書く」の総合力です。 韓国人の場合、「話す」「聞く」の習得は早いが「読む」「書く」は相対的に苦手。だから、会話をすると「結構できる」と思える人が結構いますが、中級から上級に行く過程で「読む」「書く」がなかなか伸びないという壁にぶつかります。 日本人や在日の場合、「話す」「聞く」の習得は遅いが「読む」「書く」は上手。だから、初級から中級に至るまでは「こんなに長い間学習しているのになかなか伸びない」と苦しむことが多いですが、「話す」「聞く」が満足できる水準ではなくとも、基本的な文法を習得してしまうと「読む」「書く」は相対的にどんどん上達します。中級の学習が終わると、上級の学習は確かに難しいのですが、「話す」「聞く」を除けばすぐできるようになります。 図式化すると以下のとおりです。 韓国人:初級-(早い)→中級-(時間がかかる)→上級 日本人と在日:初級-(時間がかかる)→中級-(早い)→ 上級 ですから、「話す」「聞く」は中級程度なのに、新聞記事などが読めるので自分を上級と勘違いする場合が少なくありません。 留学を終えた時点での私のことです。 帰国後、新聞は読め、翻訳はできるのに日常会話ができない、つまり通訳ができないことに愕然とし、「話す」「聞く」の 学習に猛然と力を入れました。そのときに金先生に大変お世話になりました。「話す」「聞く」は総合的に上級になったとしても、永遠の課題なのです。 5.Nさんは3級すなわち中級の前半です。上達を実感できるのに時間がかなりかかる時期です。焦る気持ちがときどき湧き上がる時期です。 上達の速度は、先ほど書いたとおり、日本人と韓国人とでは分野別に異なります。 解決策は、音読です。音読した分だけ上達します。上達に時間がかかる「読む」「聞く」を、楽しみながらじっくり練習していきましょう。 (6)「多書き」 (7)フリートーキング ☆コラム――体験レッスンで聞いた他教室の授業 (8)韓流コンテンツの徹底活用 私が留学したときは、3ヶ月が1学期で、全6級を終了するのに1年半かかった。級当たりの必要時間は200時限、1日4時間×50日間=実質約2ヵ月半だった。ソウル大の場合、1クラスの生徒数は常に10人を超え、多いときは15人もいた(多すぎる!)。当然、先生から当てられたり、しゃべる時間は極めて限られていた。授業は1日9:00-13:00の4時限(50分×4=200分)で月-金の5日間だったが、人数で割ると、声を出す時間は1日30分前後でしかなかったことになる。テキストの「韓国語1」を修了するための経費は、生活費を含め、3ヶ月で約30万だった。一方、りんどうむくげの個人レッスンの場合、順調に行けば約10万円で修了となる。三分の一だ。 外国語学習の基本は、そして習得の最善の方法は、音読である。声に出して自分の耳で聞くことだ。音読を基準に考えれば、いま私が携わっている個人レッスン、とくに1対1は、私の留学生活の3日分、費用で言えば約1万円に値する(ちなみに個人レッスン料は1回3300円)。 しかも、韓国語のシャワーを浴びるという点では、韓国の映画あるいはドラマの素材を充分に活用すれば、韓国留学と日本で学習することの間に差はほとんど無いといえるだろう。実を言えば、留学して間もない頃の私は、韓国人の友人と酒を飲むときだけ韓国語のシャワーを浴びていた。先生から奨められてラジオもつけていたが、初級のうちはほとんど聞き取れないから集中できなかった。したがって、量的に見れば、現在の韓国の映画やドラマのファン(すなわち、個人レッスンの受講生のみなさん)と比べれば比較にならないほど足りなかったのである。 だが、韓国語のシャワーを浴びるだけでは、しゃべられるようにはならない。聞くだけでは、口の筋肉は鍛えられないからだ。 韓国語を話せるようになるためにはどうすればいいか? 口の筋肉を鍛える必要がある。 口の筋肉を鍛えるためにはどうすればいいか? しゃべりまくることである。音読することである。 日本にいながら、韓国語の話し手になることは全く可能だ。 では、そのためにはどうしたらいいか? 教室あるいは個人レッスンでとにかく声に出す(声に出した分だけうまくなる)、映画やドラマをたくさん見て韓国語シャワーを浴びる。語学留学の基本は、実はこの二つなのだ。韓流のおかげで条件は最高にいい。教室や個人レッスンは竹の子のように増え、また、映画・ドラマのビデオ・DVDはレンタルビデオ店に山のようにある。私が留学する前は、「アジア映画」という棚に、香港映画のつけたしであった程度だったが、状況は一変した。 家庭でのお金のかからない学習法があるので紹介する。韓国ドラマを日本語音声で見る。同時に録画する。次に、時間ができたときに、副音声の韓国語で聞いて、意味は分からなくても、生セリフを堪能する(これが、韓国語のシャワーを浴びるということ)。続いて、録画を回しながら、生セリフを一緒に約1時間声に出して(役になり切って)重ねて言ってみる。特に好きな俳優のセリフは繰り返し声に出し、味わい、どういう気持ちでそのセリフを吐いたのかまで考えてみる。分からなかった点は、間違ってもいいから書き取り、個人レッスンのときに質問する。 余裕があれば、借りたDVDを使って、まず日本語字幕で内容を理解する。次に韓国語(字幕があれが尚可)でみる。最後に重ねるようにして声を出す。400円前後で4-5時間、みっちり韓国語の勉強ができる。中級以上の学習法だが、たとえ初級であっても、大変だが、挑戦する価値はある。 文法と音読。これが外国語学習の鍵なのだ。 以前留学したとき、海外で育った韓国人・朝鮮人が同じクラスにいつも数名いた。韓国語は、当たり前だが流暢だ。だが、文法をそれとして学ぶ機会がなかったので、別の言い方をすれば、基礎を固めるために、わざわざ留学してきたのだ。 (9)韓国語作文のコツ ☆コラム――受講生の声① Oさん(TOPIK6級合格、韓国語講師) 2.韓国で学ぶ(留学) (1)留学の良い点と注意点 ☆コラム――留学を考えている方に HさんとKさんはともに6月から6ヶ月間韓国に留学する予定だ。授業中に二人に留学について助言している。留学時の勉強方法、必携本など、私の苦い経験の総括に基づいたエッセンスを伝えている。日記に書こうと思ったが、知れば大したことではない。やっぱり、受講生二人と私との秘密にしておこう。 助言その一。留学したからといって必ずしも満足できる水準、もしくは事前に予想していた水準まで韓国語が上達するとは限らない。留学生の大体半分は遊んで勉学は二の次。もちろん遊びは大切で、得ることも多いが。単に「韓国にいた」だけになる場合もある(実際に何人か会った)。外国で住むこと自体が楽でなく、勉強も思うほどには進まず、いればいるほどストレスは溜まっていくので、目標に届かずに途中で脱落することも少なくない。 その二。「韓国語関連のお仕事」をするためには上級修了が必須条件だが、絶対条件ではない。留学し、上級を修了したからといって「韓国語関連のお仕事」ができるわけではないのだ。これは私がそうだったので断言できる。なぜか。 経験から言うと、上級(もしくは研究班)を修了すれば、理解度はともかく辞書があれば新聞や雑誌、文学作品を読めるようになり、テレビやラジオで何をやっているのかとその話の大筋が理解でき、韓国人の友達と酒飲み話や茶飲み話を長時間できる。 だが、厳しく言うとそれだけなのだ。私の留学した時の上級修了者のうちで「韓国語関連のお仕事」についている人間は私以外に一人で、彼は韓国の4年制大学に入学し卒業している。 上級修了の水準からさらに飛躍が必要なのだ。私の場合は帰国後丸2年間ボランティア通訳を手当たり次第にして恥をかき続けた経験と、金先生との週1回の会話と、韓国語能力試験および通訳ガイド試験の猛勉強が、今から思うと仕事をする力を付けるのに役立った。 話は飛ぶが、これまでの経験に基づき、「こうすれば上手くなるはずだ!」と確信している勉強の仕方は、韓国語教室の現場で改良を重ねに重ねつつ、受講生に実際にしてもらっている内容だ。受講を地道に続ける人は確かに伸びているので、手前味噌だが、成果のあることは受講生が証明していると思う。 だから、「韓国語関連のお仕事」を考えているのであれば留学後も教室で受講することを留学予定者には勧めている。時間と金を一番節約するためには、①日本の韓国語教室で上級の力をつけ、②韓国に半年留学して6級と研究班を終え、仕事をするための準備も同時に進め(具体的内容は授業中に話している)、③帰国後、勉強を続けて仕事のできる水準に達する、という段取りを踏むのがいいだろう。 (2)予習と復習の仕方 ☆コラム――受講生の声② Hさん(TOPIK6級合格) Hさん 2015年8月 ソウル大2A教科書を使って受講開始 2016年4月 TOPIK3級合格 9月 韓国に留学し4級クラスに編入 2017年2月 TOPIK6級合格 2016年9月7日のメール お久し振りです。 9月から韓国にきて語学堂に通っていますが、早速何点か気づいた点がありましたのでメールをさせて頂きました。 まず、再三先生もおっしゃっていましたが、授業は文法を学んでから練習問題に取り組むという一般的な方法ですが、りんどうむくげ工房と違うところは読む練習が全くないところです。 確かに一通りのことはやるので勉強した気になりますが、これだけでは全く身にならず、私自身も目と音で覚える派なので家に帰ってきたら半分は忘れています。せっかくお金を払って授業を受けているので、寂しいですが一人で韓訳の練習(復習)をしています。 そして決定的に違うと思ったのは、(正直かなり失礼ですが)発音の上手な方が少ないと感じました。 りんむくの生徒さんたちは、授業の声が聞こえた方が何度かありましたが、どの方も本当に上手でした。 ここでは話す授業がないのも理由のひとつかもしれませんが現在4級の授業を受けているにも関わらず、クラスの皆が喋っている韓国語はとても外国語的というか、不自然さを感じました。正直ネイティブの発音とは程遠いです。 ほとんどの方が初級から語学堂に通っているそうですが、話す練習がないのでどんな発音が正しいのかもよく分からず(先生も直してくれないままアッサリと進みます)今まで来てしまっているのか分かりませんが…ソウルだったら違うのでしょうか。○○大学はそう感じました。 比べてわたしは幸いなことに、迫田先生の厳しい(笑)ご指導のもとたった1年間でしたがりんむくで勉強し、通勤時や自宅からりんむくまでの30分間にCDを聞きまくり、苦手な韓訳に苦戦しながら、正直半信半疑で続けて来ましたが、本当に効果的な勉強法でした。 長くなってしまいましたが、毎日キムチを食べてもう匂いは韓国人のはずです(笑) 発音も韓国人になれるよう、一人で韓訳の復習を続けていこうと思います。 まだ暑い日が続きますが、お身体に気を付けてお元気でお過ごしください。 감사합니다^^ * * * * * 2017年2月2日のメール こんにちは。お久し振りです。 韓国生活も早5ヶ月、韓国で初めてのTOPIKを受験し結果が出ましたのでメールしました^^ 256点で6級に合格しました! 쓰기は70点と悔しい結果になりましたが、듣기,읽기は90点以上と満足のいく結果となりました。 思えば昨年4月の試験では3級でしたね…韓国に来てからは音読と教科書の予習復習(서울대 한국어)だけを繰り返す毎日でしたが、お陰で4級5級とクラスで一番の成績を頂きました。ひとつの目標だったTOPIK6級まで! まだまだネイティブには程遠いので、これからも音読練習は継続して行こうと思います。私に素晴らしい勉強法を教えて下さって本当にありがとうございました^^ (3)「言語交換」=韓国人との交換学習 (4)日記・ブログを使った学習記録 (5)友達を作る 韓国語を学び続けると、大きな壁が3つあるように経験上思う。すなわち、①ハングルを読めるようになるかどうか、②初級から中級になるとき(りんむくのテキストでいうと2級から3級に上がるとき。このときに「私、韓国語がかなりできるじゃない!」という喜びが訪れる)、③中級から上級になるとき(4級テキストが終わった頃。「私、韓国語が結構できるじゃない!」という喜びが訪れる)。 留学していた時、語学堂の先生も「2級が分岐点」といっていた。初級から中級になる時点で学習を中断する人が多い、という話だった。私も2級のときが心情的に一番つらかった。そのときの気持ちは「こんなにたくさんの時間と労力を費やしたのに、自分の韓国語の水準はこんなに低いのか」という暗澹たるものだった。今から思えば中級になるために力を蓄える時期だったのだが、実力が停滞しているように思え、焦りと絶望感が頂点に達していたのだ。 たしかにソウル大語学研究所の2級クラスの雰囲気は他の級に比べて暗かった(一人だけよく質問をする明るい日本人女性がいたが、彼女も結局3級には進まなかった)。みな、同じ気持ちだったからだろう。加えて、留学生活のストレスも溜まっていた。韓国語が少しは分かるようになったので、文化や習慣の違いに気づき、それに直面して傷つく時期がまさに2級だった。それを察してか、担任の先生(授業は3人の先生が週5日のうち2、2、1日と持ち回り。担任の先生は週2日を担当した)が2時限と3時限の間の20分休みを「個別相談」の時間に当てた。先生が教室に残り、机を挟んで生徒と1対1で悩みを聞いてくれたのだ。 留学したときに、相談相手がいるかどうか。いざというときに助けれくれる人がいるかどうか。現地であれ、日本であれ、である。これが鍵だ。私は幸いいたのでストレスだらけの海外生活を2年間続けることができた。 (6)他言語を同時に学ぶ ☆コラム――「留学神話」から脱しよう Ⅱ 仕事編 1.韓国語を使って働くために 上級になって、韓国語に関する仕事をしたいと思ったら、どうすればいいか? 韓国語に関する仕事ならどんなものであれ基本的に拒まないという私の狭い経験を元に、以前も似たことを書いたが、次のような段階を経ることを勧める。 ①メールの送受信とワード・エクセル・パワーポイントの基本的な操作ができるようになっておく。 ②韓国語能力試験6級、ハングル検定試験2級・1級、通訳案内士試験の合格を目指して勉強し、合格する。 ③留学帰りなら社内通訳・翻訳の仕事を2-3年する。派遣が多いが、それでもキャリア作りと実力向上のためと割り切る。もちろん今働いている人はこの限りではない。同時に英語の勉強をし、少なくとも英検準1級の実力をつける。 ④ネット検索の欄に「韓国語 通訳 募集」「韓国語 翻訳 募集」などと書いて検索し、抽出された会社にエクセルで作った履歴書を送って返事を待つ。 ⑤もし幸運なことに仕事が来たら、全力を尽くして準備し、1度失敗したら2度目はない(1度偽造したら2度目はない食品関連企業と同じです)ことを肝に銘じて怠りなく遂行する。 (1)資格を取る レッスンで使っているテキストと検定試験との大まかな対応は私見によれば次の通りだ。 テキスト 韓国語能力試験 ハングル検定試験 - 6級 1級 (通訳ガイド国家試験) - 5級 2級 4級 4級 準2級 3級 3級 3級 2級 2級 4級 1級 1級 5級 繰り返しになるが、これは大まかな区分にすぎないので、実際には多少のずれがあることをご了解いただきたい。ハングル検定試験は受けたことがないので、過去問題集を見ての判断。 通訳ガイド国家試験に合格するためには、韓国語能力試験6級ないしハングル検定試験1級程度の力が必要だと思う。 今から思えば、30代後半で韓国に渡り、カナダラから始めて2年間の留学を終えた時点での私の実力は、韓国語能力試験を指標にすると、読み・書き6級、聞く・話す・語彙が4級、総合で5級ぐらいだった。その年に受けた通訳ガイド試験は見事に落ちた。その後の丸2年間で聞く・話すが5.5級、語彙が4.5級くらいになり、韓国語能力試験6級と2度目の挑戦だった通訳ガイド試験に何とか(実感です)受かった。今でもそうだが、「話す」のが一番難しい。そういう個人的経験も踏まえて、レッスンでは「話す」ことを最重視している。 私は通訳案内士試験を2001年に初めて受けて落ち、2003年の2回目で合格した。学校にも行かず、通信教育も受けずに独学でしたその時の試験対策を簡単にまとめると、次のようになる。当時は試験が第3次まであった。 1次試験対策(韓国語筆記試験)--①過去問題集を繰り返し勉強した。これが最重要。試験の傾向と水準、それに自分の実力が分かる。答え合わせは交換学習していた韓国人の友人に頼んでしてもらった。教訓。どんな韓国人と友達になっているかがその後の韓国語人生を左右する。今もそう。②日本的事象に関する参考書を勉強した。例えば、ひな祭りを韓国でどう説明するか、ということを必死に音読した。当時は韓流前だったので、日本にはこの分野の参考書がほとんどなく、韓国の本屋に行って手に入れた。③語彙と表現を増やすための参考書を勉強した。これも韓国の書店で数冊手に入れた。④留学時に使ったソウル語学研究所(現言語教育院)発行のテキストの復習をした。⑤留学時に録音したKBS第三ラジオ「今日の新聞」のテープを通勤や散歩のときにとにかく聴きまくった。 実際の1次試験では合格はしたものの、試験を受けた後は自信がまったくなかった。点数はおそらく最低ラインだったはずだ。 2次試験対策(面接)--①ハローアカデミーのホームページに載っている過去の面接で出された質問をチェックした。同校には通わなかったが、同ホームページの情報は実に貴重。訳に立った。②韓国人の友人ダングニさんに模擬面接を何度かしてもらった。彼は言葉に対する意識がとても鋭く、かつ、レベルの高い人。教えられることがとても多く、交換学習の相手としてはこの上ない人だった。今ではいろいろな意味で私にとってかけがえのない最高の「ダチ」であり先生だが、彼と模擬試験ができて、ほんとうに運がよかった。繰り返しになるが、教訓。どんな韓国人と友達になっているかがその後の韓国語人生を左右する。今もそう。 実際の2次試験では「何故韓国語を勉強しているのか?」という質問だった。留学時に授業中で何度も答えた質問だったので内心ガッツポーズをとりながらべらべら喋ることができた。しかし、すべてはダングニさんと、通わなかったけどハローアカデミーのおかげだ。 3次試験対策(地理・歴史・社会)--①やはり過去問題集。②地理については中学校で使った世界地図資料を引っ張り出してよく見た。小学生の頃趣味の切手集めでなじみだった国立公園・国定公園をネットで再確認。③歴史については網野善彦『日本社会の歴史』(岩波新書、1997)全3冊を通勤電車の中という限られた時間で必死に読んだ。歴史はもともと好きで、特に古代史では以前古田武彦にのめりこんだこともあり、網野の叙述は試験対策ということを離れてとても刺激的で、読んでよかった。③社会については新聞。活字が好きなので時間があれば新聞を一面から社会面まで細かく読む習慣が幸いした。ハローアカデミーでも「一日2時間は新聞を読むように」と指示しているそうだ。正しい。2時間というのは全部読めということだ。ちなみに私は約1時間30分かかる。 実際の3次試験もぎりぎりだったと思う。上記の新書を読んだおかげで2問解けたのが大きかった。 (2)訓練を重ねる (3)作業能力を掴む (4)実績を積む (5)英語学習を進める ☆コラム――通訳業のある一日 本日(2007年11月14日)、IT関連の逐次通訳(日↔韓)。1ヶ月前に先輩から紹介された仕事だ。懇談の通訳で正式の会議ではないと聞いたので受けた。資料が届いたのは2日前。しかも8割がた英語。韓国出張が終わった直後で資料の読み込みが不足のまま現場へ。通訳会社の担当者およびもう一人の通訳とあいさつ。ベテランの方だ。しばし雑談。通訳の中には「いやな人」が結構いるらしいことを知る。おそらく、通訳が複数体制の場合に協力を意識的に拒否する人間のことと思われる。そういえば通訳の先輩からも同じ話を以前聞いた。今回一緒になったのは常識を持った良い方で一安心。時間になり、会場に入る。すると、配布された資料には「会議」の文字が。しかも日韓ともに組織のトップが参加と書いてある。目の前が真っ暗に。 今日の仕事を水泳に例えると、午前は水中でもがいたが何とか沈まずにすんだ。昼休みに入って高そうな仕出し弁当を食べると会場に戻り、電子辞書を引きまくる。英語を。もう必死。午後に入ると次第に慣れ、3時ごろには水中に浮上し、終了直前の夕方には今ある状態を把握しながら泳げた、といったところ。時間の経過とともに聞き取れる耳ができたという感じだ。実際は相方に支えられた部分が大きい。しかし、英語と日本語を交えて発言する人がいて爆発しそうになったこともまた事実だ。 結論。韓国語レッスンでの音読とつぶれたNOVAでしたレッスンのおかげで、顧客が満足できる地点にまでどうにかこぎつけられた。英語学習は韓国語の仕事をするうえで必須だ。 2.「韓国語何でも屋」の実際 (1)韓国語教室 (2)通訳 通訳の仕事をするときに、どういう準備をするかというと、資料の音読だ。 以前読んだ英語通訳者の本に、例えば2時間の国際会議の通訳をするときはその10倍の準備の時間が必要だ、とあった。韓国語通訳も、経験的にそうだと思う。 通訳の仕事の分野はいろいろ。ほとんどが、自分が知らない内容だ。事前に資料を読み込むことは絶対に必要。それにも増して大切なのが、日頃からの音読練習。通訳者が毎日する訓練としては、新聞の社説が最適だ。ネットを通じて入手できること、ただであること、硬い表現がたくさん載っていること、などがその理由。 時間があるときは、ハングルニュースのシャドウイングをする。さらに時間があれば、台本と照合する。しかしこれはほとんど出来ていない。 あと、日本語の新聞(私が取っている毎日新聞とか)をよく読んでおくことが必要。日本の事情を知らないと、日本に来たお客さんによる日本に関する質問に答えられないからだ。 閑話休題。 韓国語の通訳者と翻訳者のホームページが少ないことがすごく不満だったし、今も不満だ。この国で韓国語で食べていくのはどうしたらいいか? それに対する答えが、英語に比べて、需給関係はあるにしても、少なすぎる。 技術的なことはいわなくても、通訳者・翻訳者がどうすれば食べていけるのか、あるいは、副業としてやっていけるのかについての情報が、私が留学を負えて帰国したときに、ネット上にはほとんどなかった。しょうがないので、英語通訳者・翻訳者の本を読み漁り、なんとなくイメージはつかめた。通訳ガイド免許取得をきっかけにして「韓国語で食べていこう」と決心して仕事場も作った。著者の名前は忘れましたが、帰国時(2001年)に通訳者の本は一冊あり、読んだ。とても参考になったことを覚えている。でも、「先輩」たちの情報はネット上にはほとんどなかったに等しいというのが現実だった。 たしかに、日本で、英語でさえ通訳者が仕事として確立したのは1960年代。半世紀にもなっていない。そのときに苦労したのが、只管音読を主張した國弘正雄先生。韓国語の分野ではもっと後だったことだろう。 1999年に留学したが、その時、事前作業としてネットで情報収集した。けれども、通訳者・翻訳者のサイトがほとんどなかった。今も事情はあまり変っていない。学習者のホームページは確かに増えた。でも、職業として韓国語を扱っている人のそれはどれくらいだろうか。 尊敬する前田真彦さんのページがある。内容はすごく豊富で、勉強になる。でも、前田先生は教師。通訳・翻訳で食べているわけではありません(注:この文執筆当時)。 通訳者・翻訳者のホームページはもちろんある。でも、それは広告の要素が主。「通訳・翻訳で食べていけるのか」に関する情報はない。(あったら、すみません、私の認識不足ですので、ご一報ください) 韓国留学を終えて帰国した在日・日本人にとって必要な情報がネットでは十分に得られない状態が続いている中、自分の体験の範囲で情報を発信していこう、日記の形で通訳者・翻訳者の一人がどのように生き、仕事をしているのかを、通訳者・翻訳者を目指している人に伝えたい--というのが、りんどうむくげ工房ホームページを作った第二の理由だ。第一はもちろん営業。 韓国語の観光通訳の仕事は、韓国人観光客が増加しているのに反しほとんど増加していないというのが現状だ。最近の韓国人観光客は団体の場合ほとんど韓国人通訳付きだからだ。その通訳は韓国から来る場合と日本に留学などで滞在している人の場合がある。単価はアルバイト並みときわめて安いと聞いている。 だから、通訳に限っていえば、観光通訳は「高い金を払ってでも頼みたい」と思ってもらうほどの高い技術力が要求されるだろう。会議通訳やビジネス分野の通訳など他の分野での通訳もある。これらはともに、通訳案内士試験に合格したらすぐできるわけではないだろう。技術の研鑽がその後も相当必要だ。私が20代だったら、そういう技術を学べる職場に入っただろう。 (3)翻訳 Ⅲ お世話になった人々 1.辛淑玉(シン・スゴ)さん 2.金玄謹(キム・ヒョングン)先生 3.前田真彦先生 4.留学時の先生方 5.ヨン様 6.受講生のみなさん あとがき |
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